- 優先度の低い防災グッズ
- 絶対に必要な防災グッズ
- 防災グッズの揃え方
防災グッズっていろいろあるけど、本当に全部必要なのかしら?
防災グッズにも優先順位があるんですよ。
災害への備えが必要だからと言って、何でもかんでも備えれば良いわけではありません。
首相官邸ホームページによると、次のように書かれています。
【食料・飲料・生活必需品などの備蓄の例】
・飲料水 3日分(1人1日3リットルが目安)
・非常食 3日分の食料として、ご飯(アルファ米など)、ビスケット、板チョコ、乾パンなど
・トイレットペーパー、ティッシュペーパー・マッチ、ろうそく・カセットコンロ など
【非常用持ち出しバッグの内容の例】・飲料水、食料品(カップめん、缶詰、ビスケット、チョコレートなど)
引用:『首相官邸HP』災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~
・貴重品(預金通帳、印鑑、現金、健康保険証など)
・救急用品(ばんそうこう、包帯、消毒液、常備薬など)
・ヘルメット、防災ずきん、マスク、軍手
・懐中電灯、携帯ラジオ、予備電池、携帯電話の充電器
・衣類、下着、毛布、タオル
・洗面用具、使い捨てカイロ、ウェットティッシュ、携帯トイレ
※乳児のいるご家庭は、ミルク・紙おむつ・ほ乳びんなども用意しておきましょう。
しかし、上記はあくまでも一例にすぎません。
また、防災グッズにも大きく3つの用途があり、それぞれ備え方が違うんです。
外出中の被災を想定した『持ち歩き用防災ポーチ』
自宅から避難する際に必要な『持ち出し用防災グッズ』
被災後の自宅避難時に必要な『備蓄品』
ここでは、2度の被災経験から、『被災時にいらなかったもの』や『備え方を間違えるといらなくなるもの』についてお話ししていきます。
- 小学校2年生の時に阪神淡路大震災を経験
- 社会人1年目で東日本大震災を経験
被災経験者だからこそ、『こんな場合にはいらなかった』というお話ができると思います。
これはいらない?場合によっては『必要ない=優先度の低い』防災グッズとは
先ほど紹介した、首相官邸HPに書かれていた防災グッズの中で、私が『被災時には必要なかった』と感じたものは次の5点です。
- ろうそく・マッチ
- カップ麺
- 貴重品(通帳・印鑑・健康保険証)
- 軍手
- 毛布
なぜそう感じたのか、1つずつお伝えしますね。
ろうそく・マッチ
首相官邸HPでは必要とされていた『ろうそく』と『マッチ』。
こちらは、災害で停電した時のための灯り確保のためと思われます。
しかし、部屋が暗い中でろうそくを使用すると、転倒して火事になりかねません。
大きな災害時は水道が止まっていることも多いので、小さな火種でも、大きな被害に繋がる危険があります。
なので、停電対策として灯りを確保するには、『ランタン』が最適です。
ただ、キャンプにもいかないのに、そんな高価なものを買うのはちょっと…という方は、『懐中電灯』と『500mlの水』で灯りを自作すると良いですよ。
これは水筒の中に懐中電灯を上向きにいれ、その上に500mlの水が入ったペットボトルを置いてつくったランタンです。
ちゃんとしたランタンでなくても十分な明るさがありますし、懐中電灯なら移動時にも使えて便利です。
カップ麺
阪神淡路大震災の時、避難所にカップ麺を持ち込む方がいました。
ただ、災害時には、お湯を沸かす電気やガスがない事もあり得ます。
特に避難所では、自分以外にも多くの避難者がいるので、特別対応はしてもらえません。
首相官邸HPでは『持ち出し用の防災グッズ』として挙げられていましたが、臭いも強いのでどうかと…
ただ、自宅避難時を想定した備蓄品としては、カップ麺は重宝します。
その場合は停電時を想定して、カセットコンロとガスボンベの備蓄も忘れないようにしてください。
避難時に持ち出す用の非常食は、缶詰パンやアルファ米など、臭いも少なく、自分で完結できるものが良いですよ。
貴重品
首相官邸HPによると、貴重品として以下のものが挙げられていました。
貴重品:預金通帳、印鑑、現金、健康保険証など
ですが、過去の大災害の際には、多くの銀行で、キャッシュカードや通帳がなくても一定額まで引き出せる特別措置が施されています。
必要なのは、本人確認書類のみです。
なので、通帳や印鑑、健康保険証などを避難時に準備する必要はありません。
事前に持ち出し用防災グッズには、必ず、保険証や子ども医療受給者証のコピーを備えておきましょう。
たった1枚の紙きれがあるかどうかで、被災後の生活を大きく左右します。
また、現金は、小銭で準備しておくと良いでしょう。
災害時でも自動販売機が使える場合もあります。
コンビニなどが開いていても、紙幣の補給が見込めないことから、大きなお札は拒否されることもあるんです。
なので私は、一人5,000円分を小銭で用意していますよ。
軍手
首相官邸HPに『軍手』とありましたが、上のような布の軍手を想像していませんか?
これだと、瓦礫やガラス片を防ぐことが出来ないので、ケガをしてしまいます。
被災時はあちこちに危険物が散乱しているので、軍手は必須です。
ただし、布の軍手ではなく『防刃手袋』にしましょう。
瓦礫片でのケガを防ぐことができます。
毛布
首相官邸HPには、持ち出し用の防災グッズに『毛布』とあります。
ただ、毛布を持ちだすって無理がありませんか?
毛布はかさばるので両手がふさがり、避難時に持ち出すのは危険です。
身を守るための避難なのに、危険要素を増やしてはいけません。
なので、防寒対策としては『サバイバルシート』を準備しましょう。
必要だけど備え方を間違えがちな防災グッズ
ここからは、備え方を間違えがちな防災グッズについてお話します。
必要だと聞いたから、という理由で適当に防災グッズをそろえるのはやめましょうね。
2ℓの水
水は生きていく上で絶対に必要です。
そのため、防災の観点からも、水の備蓄は最優先すべきです。
自宅避難用に、長期保存できる『保存水』で備蓄してください。
ただ、持ち出し用としては、2ℓボトルは不向きです。
断水時には洗い物ができませんし、コップなしでは飲みにくいからです。
首相官邸HPによると、『備蓄用の飲料水は、1人1日あたり3ℓ』と記載があります。
ですが、避難時に持ち出す用としては、その半分の1.5ℓでOKです。
避難所へつけば、だいたい半日以内に飲料水が配られますからね。
水は重いので、3ℓもかついでいては避難に支障をきたします。
最低限の荷物で避難を優先させるためと、避難先での水分補給を容易にするためにも、500mlボトルで3本を目安に持ち出しましょう。
手回し防災ラジオ
災害時は特に、正しい情報が生死をも左右すると言っても過言ではありません。
いまや携帯一つあれば、多くの情報が入手できるようになりましたが、災害時は電波状況が悪く、スマホを使えない事が多いのです。
そんな中、情報収集に活躍するのが『ラジオ』です。
ただ、「手回し式」のラジオだと、ずっと回さないと放送を聞けない上に、音が途切れ途切れになってしまうことも。
そのため、手回し式の防災ラジオは防災グッズとしてはおススメしません。
防災ラジオは、必ず「電池式」または「充電式」のものを選びましょう。
乾電池の備えも忘れずに!
新聞紙
新聞紙って、吸水性にも保温性にも長けているので、防災グッズとしておススメされることが多いのをご存じですか?
我が家でも、そうじや揚げ物の時に使ったり、子ども達が遊び道具として使ったりと、幅広く活躍してくれます。
ただ、1つ難点としては、『かさばる』事です。
そのため、外出時の災害に備えるための持ち歩き用や、避難所に行く際に持ち出す防災グッズとしては、優先順位を下げて良いと思っています。
実際に、防寒として使うには相当量が必要だし、避難所でそうじや揚げ物をすることはありません。
備蓄品として自宅に備えておく分には重宝されますが、限られたものしか持ち出せない場合の防災グッズとしては、優先順位を下げてOKです。
”何のために備えるのか”をしっかり考えないと、荷物が増えすぎます。
テント
避難所によっては、テントスペースを設けてくれる場合があるようです。
ただ、多くの場合、被災地でテントを張るスペースなんてありません。
犬や猫などのペットは、アレルギーの方もいる為、避難所へ入ることができません。
それでも、ペットと一緒にいたいという思いから、避難所を利用しない方がいらっしゃいますが、その多くは、テントではなく「自宅避難」か「車中泊」を選択されます。
災害によってガレキが散乱していて、テントを利用できる場所すらないことも。
ペットと一緒に避難する際には、ペットキャリーを活用しましょう。
避難所では集団生活となる点を忘れてはいけません。
寝袋
前述しましたが、防寒対策としては、サバイバルシートが手軽に持ち運べて保温力も高いので最適です。
ただ、避難所は小学校の体育館や公民館の場合が多いため、冬は底冷えしますし、床が硬くて眠ることができません。
そこで、防災グッズとして寝袋がクローズアップされるのですが、家族分をとなると、重いしかさばるので避難が遅れる原因にもなりかねません。
それでは備蓄品に、と言いたいところですが、そもそも自宅避難時には布団があるので不要ですよね。
そのため、防災グッズとしては、床の硬さ対策としてエアーベッドが推奨されています。
膨らます前はペタンコなので、防災リュックにスッポリ入ります。
ロープ
「自宅の2階からでも脱出できるように」「がれき除去のために」といった理由で、ロープを防災グッズとして備える方がいます。
ただ、ロープは持ち出すには重く、正しい結び方を知らずに高所からロープで脱出するのは非常に危険です。
もし、災害後に破損したものを片付けるためにと考えるのであれば、よくコミックの全巻売りの時に使われている、ラップテープがおすすめです。
非常に軽く、容量のわりに保管に場所もとりません。
クルクルねじってひも状にすれば、ロープの代わりとしても使えます。
日常生活でも、荷物をまとめたりするのに使えて便利ですよ。
被災時にあって良かった意外な防災グッズ
一般的な防災セットには入っていないけど、意外と役にたつグッズをご紹介します。
荷物の量と相談して、準備するか決めてくださいね。
ジップロック
ジップロックは日常生活でも大活躍する一品ですが、災害時ならではの使い方もあります。
例えば、
- 大雨の中避難する際、スマホなどの機械類の防水対策として
- 少量の水で下着類の洗濯をするために
- 保険証のコピーや緊急連絡先メモの保管用に
など、災害時には普段とは違った使い方でも役立ちます。
私は避難用の防災バックにも入れています。
赤ちゃんのおしりふき
私が小2の頃に経験した阪神淡路大震災では、1ヶ月以上断水し、お風呂に入れませんでした。
そんな時のために、ノンアルコールのウェットティッシュが防災グッズとして推奨されています。
赤ちゃん用のお尻ふきは、ノンアルコールでやわらかく、普通のウェットティッシュより薄くできています。
そのため、コンパクトに大容量を備えることができ、コスパも高いのでオススメです!
我が家にはもぅ赤ちゃんはいませんが、おしりふきは普段から使用しています。
耳栓とアイマスク
避難所生活であって良かったグッズが、耳栓とアイマスクです。
避難所では多くの人と共同生活をすることになります。
周りの生活音が気になって、眠れないことも。
また、夜も非常用ライトが眩しく、睡眠の妨げになります。
どちらも100円均一で揃えられるので、ぜひ備えてくださいね。
ガソリン携行缶
避難時に車を使うのはNGです。
ただ、災害が落ち着いた頃、他県にいる親戚の元に避難するのはアリですよね。
災害時は、ガソリンスタンドで半日以上並ぶこともあり得ます。
そしてそれだけ待っても給油できないことも…
車がある方は、ガソリンさえあれば、車内で涼んだり暖をとることもでき、シガーソケットから携帯の充電も可能です。
ガソリン携行缶は、防災グッズとしてはあまり知られていないものですが、車もちの家庭ではとても重宝されますよ。
普段から車のガソリンは半分以下にしないよう、こまめに給油することも大切です。
必要な防災グッズだけ手軽に揃える方法とは
ここまで、自身の被災経験から、『必要のない防災グッズ』をご説明してきました。
一方で、本当に必要な防災グッズは、家族構成や年齢などによって異なります。
上記チェックリストは、『持ち出し用防災グッズリスト』からダウンロードできます。
いらない防災グッズをのぞき、被災時に必要な防災グッズだけを集めても、最低38種類もあります。
年齢や性別、家族構成によっては、もっと多くの防災グッズが必要です。
これだけのものを1つずつ揃えるのって大変ですよね。
そこで、最低限必要な防災グッズを的確にそろえるには、市販の防災セットに必要なものを追加するのが最善です。
防災セットにもいろんな種類がありますが、私は下記5つの観点から『Defend Future』の防災セットを選びました。
- 官公庁や公共機関でも使われているもの
- 防災士監修の日本初の防災メーカー
- 女性でも持ち運びがしやすい
- 5年間の保証付き
- コストパフォーマンスの良さ
特に私は、国内メーカーである点を重視しました。
実際の防災セットの中身を別記事で紹介しているので、気になる方はあわせてご覧ください。
まとめ│本当は必要ない防災グッズとは
自身の被災経験から、必要度の低い防災グッズを紹介しました。
防災グッズ | 持ち歩き用 | 避難時持ち出し用 | 備蓄品 |
ろうそく | × | × | × |
カップ麺 | × | × | 〇 |
貴重品 | △ | △ | 〇 |
現金 | △ | △ | △ |
軍手 | △ | △ | △ |
毛布 | × | × | 〇 |
2ℓの水 | × | × | 〇 |
防災ラジオ | × | △ | △ |
新聞紙 | × | △ | 〇 |
テント | × | × | × |
寝袋 | × | △ | 〇 |
ロープ | × | × | × |
防災グッズは、『なんとなく揃える』のではなく、シチュエーションを考えて揃えましょう。
避難用の防災グッズは、市販の防災セットに少し追加するだけで完成します。
いらない防災グッズまで揃えないよう、何のために必要なのかをしっかり考えて備えてくださいね。
\自宅避難に必要な備蓄品もチェック/